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白髪混じりのブルーズ

だってパーティー終わらない

押し込まれるようにして新幹線の自由席にどうにか座ると、「なぜ指定席券を購入しなかったのだろう」と考えてしまいます。

年に2回、この命題について思考を巡らせるのですが、こんな状況を年に2回も迎えてしまうこと自体が頭が悪いというか、考えなしここに極まれりといった感じです。

加えて今回は諸事情によりギターも持ち込んだため、周囲の乗客からの非国民でも見るかのような視線がチクチクと肌に刺さりました。

とは言え、帰省ラッシュ時の自由席列車なんて人権を奪われた車両に共に乗り合わせているわけですから、同じ穴のムジナ同士、せめて3時間くらいは仲良くしたいです。

 

考えなしから連想されることと言えば、今年の僕のお金の使い方です。機材への浪費大なるものがありました。

年末になると、1年を振り返ってのなんとなくの総括を書いているのですが、今年は機材関係で印象に残っていることについて触れてみようと思います。

 

1.ギターアンプを4台手に入れた

人にこの話をすると、大抵ドン引きされます。

そして「お前は小金持ちなのか、それとも頭がおかしいのか」とよく問われますが、おそらく後者だと思われます。前者についても言及しておくと、まずは手に入れたアンプの大半は安物であるということ、そしてこれだけアンプにお金を使ったということは、それ即ち何か他のことが犠牲になっているのです。それは交友費なり生活費等の、健康で文化的な最低限度の生活なのかもしれません。

なぜそんなにアンプが必要なのか、常設の機材ではダメなのか、という声が多少なりとも聞こえてくることがありましたが、僕ももう20代半ば。

「そろそろ必要になってくる頃じゃん?自分のトーンってヤツがよォ!」と精一杯自分を正当化した結果がアンプ4台です。しかしながら、やってるのは完全なるインディーな、もっと噛み砕いて言えば趣味でやっているようなアマチュアバンドで、なんならライブだってそんなにやれていないという現状です。

いまこの瞬間も「あのアンプ気になるんだよな〜、あのキャビもいいねぇ」なんて思い出していますが、来年の目標は倹約家になることです。「いまある機材で最高の音を出せてこそのギター弾きでしょうよ」と、心を騙さなきゃ保てない意地で立っています。

 

2.ハードオフ
田舎のドン・キホーテが地元民のホットスポットになっているように、僕にとってのハードオフはエデンそのものと言っても何ら差し支えないでしょう。

もうここ数ヶ月は暇が出来ると自動的にハードオフに足が向かうようになっています。

ハードオフは一口では語れないほどの魅力を内包していますが、一番の魅力はやはり「欲しいものを格安で見つけたときの掘り出した感」でしょう(とは言え、メンテナンスや保証等、後々のことを考慮すると楽器屋で購入した方が安上がりの場合が多いのもまた事実です)。

つい先日も、日々のディグりが功を奏し、相場の半額程度でfender bassmanを見つけ、それと同時に固く縛ったはずの財布の紐は盛大に弾け飛びました。ドラマのようなロマンチックな出会いは楽器屋ではなく、いつだってハードオフに転がっているのです。

他にも出自不明のギターやペダルを何個か買ってみたり、現物を確認するために愛知県の店舗まで行ってみたり(結局何も買わなかった)と、今年のハードオフに関する話は枚挙に暇がありません。

前述のbassmanは結果が追いついてきた例になりますが、最近では手段と目的が完全に入れ替わってしまい、気付けば結果ではなくその過程を重要視しています。なんなら掘り出し物が無くても、各店舗を見て回るだけでも楽しいのです。

ちなみに神奈川県内はほとんど、東京都内も西部のほとんどのハードオフを巡回しましたが、いい商品を取り扱っている店舗は、その後も良さげな商品が入ってくる傾向があるように感じます。逆もまた然りです。マイ本屋、なんて言葉が紙を扱う業界であるように、お気に入りのマイハードオフを見つけるのもおすすめです。

 

3.西田製作所

この1年で4台のアンプを手に入れたはいいものの、その大半はジャンクと化していたり、コンディションに不安があるものでした。

流石にアンプについてはまるで知識がないため、餅は餅屋だな〜と近場のリペアショップを探していると見つかったのが西田製作所さんです。まさか今年1年通してお世話になるとはそのときは露ほども思っていませんでした。つまり、入手したアンプは全てリペアに出したということになります。

僕は西田製作所さんにしかリペアを依頼したことがないため、他との比較が出来ませんが、「Marshall Black jubileeを現行のfender twin reverbみたいにしてくれ!」といった気が違ったオーダーにも親身になって応えてくれる良いお店です。現在も前述のbassmanをリペアしてもらっています。何だか、かかりつけ医のような存在ですね。

勿論アンプの修理だけなくモディファイや販売も行っているので、機材の調子が気になる方、音をどうにかしたい方などは一度足を運んでみることをおすすめします。

 

ほとんどがアンプとハードオフの話に終始する形となりました。

どれだけ口先で「来年は倹約家になる」と言ったところで、このお金の掛かる趣味に終わりはありません。

理想の音を鳴らせるその日まで、延々と機材に関する熱は冷めないままです。そして理想の音を鳴らせたと思ったその瞬間に、確かに掴んだはずのそれは両手をすり抜けていくことでしょう。

 パーティーは終わらずに永遠に続くように、多くのギター弾きがそうであるように、楽しみと苦しみが渾然一体となったこの果てのない道はきっと来年以降も、その先もずっと続いていくのだと思います。

なので、せめて来年は「安物買いの銭失い」にならないよう心掛けていきたいです。